ライカとの出会いは、昭和45年頃。
私が中学生だった時です。
私に写真の指導をしてくれていたSさんが首から下げていた、黒塗りライカ。
妙に大切そうに扱っていたのを覚えてます。
レンズはもちろん、ボディーが何だったのかは分かりません。

黒い塗装の剥げた部分からは真鍮が見えていて、
《ポンコツのボロ・カメラ》
っていうのが正直な第一印象です。

Sさんから説明を聞きながら手に取った時の、ズシリとした重さと、メチャクチャ高額な値段で、
あのころ中学生だった私は「オレには一生買えないなぁ。」と感じた事を、今でも忘れません。

当時、雲の上のような存在だったSさんが絶賛していたカメラ。
《雲の上の人が、雲の上で使うカメラ》
それが、私にとってのライカでした。

あれから数十年、数少ないですが、私もライカを手にすることが出来ました。

スナップ写真に限らず、風景や人物を撮っても、決して裏切らないライカは、
想像以上に素晴らしいカメラでした。

そして写りはもちろん、まったく妥協を感じさせないメカとしての作りも素晴らしい。
そんなライカの素晴らしさを少しでも知ってもらえたらと、このページを作りました。

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Leica M3



私が最初に手にしたボディーM3です。
フィルム巻き上げは、初期の二回巻き上げ式ですが、シャッタースピードは1/1000・1/500・1/250・1/125
といった現在と同じもので、ストラップを付ける部分は初期でなく、後期の形をしています。
中途半端といえば中途半端なモデルですが、大変調子もよく気に入っていて、一生の付き合いになるでしょう。

こまかな部分の作りは、後に手に入れたM6TTLとは比べ物にならない素晴らしさです。
セルフタイマーレバーやファインダー切り替えレバー等、細かいパーツの美しさや、前面のファインダー周りの
膨らみ等、美術工芸品とでも言いたくなってしまいます。

ただ一つの難点は、フィルム巻き戻しのダイアルでしょうか。
上の写真の、下段の右から二番目のダイアルです。
形も作りも良いし、普段はのんびりとダイアルを回して、撮影後のひと時の一儀式として楽しんでいるのですが、
これが真冬となると話は別です。
ただでさえ冷たい金属のかたまりであるM3を持ち、その冷え切った指先で、このダイアルを回すのは痛い!
でも考えてみれば、そんな時は一旦喫茶店へでも入って暖を取り、ゆっくりとフィルムの入れ替えをする位の
気持ちのゆとりを持って、接するべきカメラかもしれません。


Leica M6TTL 0.72


露出計内蔵のカメラが欲しくなり、当時現行モデルだったM6TTLを購入しました。

露出計を持たなくて済み、スナップ撮影の時などは、荷物が一つ減って身軽になった気がします。

ボディー前面にある赤丸のライカマークとLEICA M6の文字は黒くして、巻き上げレバーは
M3タイプの物に変更しました。
些細な改造ですが、ちょっとオリジナルな感じで気に入ってます。

このモデルから、シャッター速度ダイアルが大きくなり、文字も現代風になりました。
この文字はあまり評判が良くないみたいですが、使い勝手はダイアルの大型化にともない、
ボディー前面までダイアルがきたため、撮影姿勢のままでも右手人差し指一本でシャッター速度
を変えられるようになり便利です。
シャッター速度表示も以前のモデルとは逆回転になり、露出の過不足を示すファインダー内の
赤い三角の方へダイアルを回すと、適正値になるように変更されました。

0.72というファインダー倍率は35mmレンズとの相性がいい事もあり、
最近ではM3よりM6TTLを使う機会の方が多くなってしまいました。

残念なのは、ファインダーの見え具合です。
最高と言われるM3のファインダーと比べるのは、あまりにも可哀想ですが、それにしても早朝や夕方などの
逆光時などは難儀します。
そんな時は、M6のファインダーがダメと言うより、M3のファインダーが素晴らし過ぎると思って使っています。


Elmarit 21mm/f2.8 ASPH.


星野写真や星景写真を撮る場合、35mmでは物足りない事が多いため購入しました。
Mボディーでは、21mmのフレームを備えた機種はないため、フレーミングには外付けのファインダーが必要です。
撮影時にファインダーを覗き直すのは面倒のような気もしますが、それよりも外付けファインダーを付けた姿が好
きなので、まったく気にはなりません。
さらに、21mmは被写界深度も深いので、ちょっと絞り込んで被写界深度目盛りを確認しておけば、
ほとんどの場合外付けファインダーのみで撮影できます。
写りに関してはただ一言、スゴイ!
ライカの古いレンズも評価は高いですが、やはり時代と共に進化を遂げてます。


Elmarit 21mm/f2.8 ASPH. で撮った写真です。
湾曲収差のテストに撮りました。
素晴らしい性能です。
水平が出ていないのはご愛嬌。 ご勘弁を。
奥日光で撮った天の川です。
VixenGPガイドパックを使っての撮影。   絞り開放、露出時間は20分です。
いくら高性能とはいえ、開放絞りで星(点光源)の撮影はさすがに酷ですね。
隅の方ではコマ収差がご覧の通り。
2005年2月に行った横浜の写真は、すべてElmarit21mmF2.8ASPH.で撮りました。
ちょっと重いのさえ我慢すれば、最高のレンズです。
このモノクロ写真は減感現像しているので、コントラストが低めですが、
通常の撮影では、もっとコントラストのしっかりした現代のレンズらしい描写です。


Elmarit 28mm/f2.8



このレンズは俗に“9枚玉”と呼ばれる、エルマリート28mmの第一世代の物です。
歴代エルマリート28mmの中でも人気のあるモデルですが、後玉が大きく出張っているため、
M5等の一部のボディーでは後玉が測光部に干渉して使用することができません。
露出計内蔵のM6やM6TTLには取り付ける事はできますが、後玉の出っ張りが影響して内蔵
露出計は正確に作動しません。
また、28mmのファインダーフレームを備えたM6TTL 0.72で使用しても、ファインダーフレーム
は自動的に切り替わりません。
正確なフレーミングには、わざわざファインダーフレーム切り替えレバーを操作するか、外付け
ファインダーを使う必要があります。
私の場合は、単に“カッコイイ”というだけの理由で外付けファインダを付けていますが、実際
はファインダーフレーム切り替えレバーをチョイと押す方が、早くて実用的かと思います。
写りは現代のレンズとは、まったく別物といえます。
“シャープ”とか“ハイコントラスト”というより、“柔らかい”とか“優しい”という言葉がピッタリくる
描写です。
もちろん解像力が低いという意味ではなくて、特にモノクロの場合には階調表現が豊かという
印象です。
モノクロでの使用を目的に買ったため、カラーは撮っていないので、カラー撮影の際の発色に
ついては私は何とも言えません。

【追記】
その後、カラーネガフィルムで撮影しました。
このレンズはカラーで使用すると、どのような状況下でも青味がかるようです。
下の左の写真は、補正しないでスキャンしたものです。
右の写真は補正したものです。
 

(クリックで拡大画像が表示されます。)

(クリックで拡大画像が表示されます。)

色補正でどうにでもなるレベルですけど、やはりいちいち色補正するのは面倒ですね。
もちろん解像力は抜群です。

Elmarit 28mm/f2.8で撮った写真です。
上野駅構内です。
ディズニーシー内にあるレストラン“マゼランズ”にて。
美しいボケ味です。

Summicron 35mm/f2.0


M3のボディーと一緒に、初めて買ったライカのレンズが、この35mm/f2.0。
他のレンズと比べて、何だか値段が高いなぁと思いながらも、姿形に惚れ込んで買ってしまいました。
写りは本当に素晴らしく、価格以上の満足感を得られました。
後になって知ったのですが、これは八枚玉と呼ばれ、ライカの中でも名レンズらしく、人気も高いそうです。
今になって思えば、なんと幸運だったんでしょうか。
最近では主にM6TTLに付けて使っているため、レンズと一緒に買った外付けファインダーの出番が少なくなってしまいました。


Summicron 35mm/f2.0 で撮った写真です。
このレンズは、ある一定の条件下で、物凄い描写をする時があります。
ライカ使いの名手、故木村伊平衛氏は、新しいライカレンズを入手すると、数日で
そのレンズの癖を掴んで撮影に臨んだそうですが、私にはまだ分かりません。
《薄曇》・《F4〜F5.6》あたりがキーワードの様な気がしますが、まだまだ謎です。
軒下の暗い部分も潰れる事なく描写されています。
車のリヤホイール等の、赤い部分の落ち着いた発色は、ライカレンズ独特です。
最新の一眼レフ用の35mmF2レンズと比べたら、かなりコンパクト。
しかも、描写は申し分なし。
小柄なMボディーと相まって、スナップ撮影には最高です。
ディズニーシーにあるホテルミラコスタにて。

DR Summicron 50mm/f2.0

50mmレンズが欲しくなり、銀座の中古カメラ店へ出かけました。
当初のお目当てはこのSummicron 50mm/f2.0ではなく、同年代に製造されたSummilux 50mm/f1.4でした。
ところがSummicronを見たとたんに予定変更。
このレンズの美しさに一目惚れでした。
そして、これぞまさに精密機械といった感じの操作感の素晴らしさ。
Summilux 50mm/f1.4とは比べ物になりませんでした。

名前の最初のDRは「デュアル・レンジ」の頭文字です。
メガネとよばれる物をレンズ上部に取り付ける事で、最短撮影距離を50cmにまで縮めるという機構は、
レンジファインダーカメラの欠点を克服しようという、設計者の熱意が伝わって来るような気がしました。
上の写真で右の二枚は、そのメガネを取り付けたところです。

Summicron 50mm/f2.0は、数あるライカレンズの中でも名玉と呼ばれるレンズの一つで、
その描写は「空気が写る。」などとも表現され、「エアー・レンズ」とも呼ばれました。
M3ボディー共々、M型ライカの発展になくてはならない存在だそうです。

Summicron 50mm/f2.0 で撮った写真です。
最新のレンズに比べたら、逆光には弱いけど、
この程度なら大丈夫でした。
古いライカレンズには、スペックを越えた魅力があります。
特に50mmと言う焦点距離のライカレンズは種類も豊富。
ズマール、ズマリット、エルマーにズミクロンやズミルクッス等々。
コレらを集めだしたら《病》と呼ばれる状態になる事間違いなしです。
近接用メガネを付けて、最短距離での撮影です。

etc.


ライカには、いろいろな小物があります。
そんな小物を持ち歩く時に便利なのが、専用ケース。



このバッグはFOGGの《bライカ》。
ライカ純正のバッグではありませんが、名前からしてM型やバルナック型ライカを意識したバッグなのでしょう。
スナップ撮影の時などに最適で、M型1台に交換レンズ1本、そしてフィルム数本程度がちょうど収まるサイズです。
デザインが“いかにもカメラバッグ”じゃない所が気に入ってます。
布製ですが、ゴムが挟み込まれている布が使われているので防水性も良く、カメラバッグとしての使い勝手は◎です。



M3をオーバーホールに出した際、修理屋さんから 「どんどん使った方が良いんですよ。」 とのアドバイスを受けました。
そこで、露出計のない不便さを解消すべく、ライカメーターを購入しました。
実用性はもちろんですが、メチャクチャかっこいいです。



M6TTLにいつも付けているグリップです。
首からカメラを下げるのが嫌いな私にとっては必需品です。
このグリップを付けると三脚用のネジの位置が中央あたりになり、小型の三脚等を使うときは安定感があります。



最近ファインダーが見難くなってきたので、視度補正レンズを付けてみました。
私の場合は老眼なので、+1を買ってみましが、とても具合が良いです。
取り付けは、ファインダー部にねじ込むだけで簡単です。
店員さんは、「M3もM6ttlも共通だから、どちらにも使えますよ。」と言っていましたが、M3に付けてみると
ネジのピッチが違うのか、うまくねじ込めず90°ほど回ったところで止まってしまいました。
付かないわけではないですけど、ネジ山が潰れそうであまり気持ちよくありません。
仕方ないのでM6ttl専用です。